福岡市議会議員・山口つよし

2012.06.22:平成24年第3回定例会

◯23番(山口剛司)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、これからのエネルギー政策について、農林業の活性化について、そして地下鉄地上出入り口に街図を設置することについて質問いたします。関係理事者の前向きの答弁を期待いたします。
 まず、エネルギー政策についてお尋ねいたします。
 我が国の電力供給量が日本のどの地域でも不足すると言われております。ことしの節電で夏の暑さは乗り越えられるか、皆さんが不安になっている点であります。そこで、電力需給バランスと今後の再生エネルギーの状況についてお伺いしてまいります。
 まず、九州内の発電設備と発電電力量の内訳はどうなっているのかお尋ねいたします。その上で、昨年の夏の電気消費量に対し、原子力発電がなかったらどのくらい不足すると考えておられるのかお示しください。
 昨年は、市役所全体でも夏と冬に節電対策をとられました。どの程度の施策で節電量がどのくらいであったのかお伺いいたします。また、その量は一般家庭に換算すると何世帯分になったのか、あわせてお示しください。その上で、ことしの夏はどのくらいの節電を実施されようとしているのか、目標をお伺いいたします。
 昨年は、市民が節電に協力された場合、削減できたCO2を1キログラム当たり10円に換算し市民に還元する施策、省エネチャレンジ応援事業を実施されましたが、その成果はいかがだったのでしょうか、お伺いいたします。
 また、家庭への創エネです。主に太陽光パネルに代表されますが、申し込み状況はいかがだったのでしょうか。発電電力量についてもお尋ねいたします。
 これまでの施策の実施で、福岡市としては節電量と新エネルギーを合計するとどれくらい貢献できたのか、お伺いいたします。
 本年度の施策で数多くの再生エネルギーのメニューを考えられていますが、代表的なものを示していただくとともに、合計するとどのくらいの発電量になるのか、お伺いいたします。また、企業の設備投資に対しどのようなメニューがあるのか、現在の検討状況を含めて経済観光文化局にもお尋ねいたします。
 次に、農林業の活性化についてお伺いいたします。
 我が国はTPPに関係して日本の農業は世界に対抗できるか、まさに議論の真っただ中にあります。その上で、国産農産物が地産地消できる仕組みを各地域は施策を行う必要に迫られています。そこで、本市の現状はいかがなものでしょうか。福岡市の全体農地面積は平成23年度末で2,872ヘクタールでした。そのうち耕作放棄地の面積は約464ヘクタールで、農地面積に占める割合は16.1%になります。さらに、この放棄された面積のうち森林や原野化した面積は430ヘクタールもあり、復元が困難とされています。そこで、復元可能な面積は約34ヘクタールしかありませんが、ここの復旧がまず取り組まなければならない大事な施策であると認識いたしております。一方、就業年齢が本市にとっては重要な課題です。2010世界農林業センサス資料によりますと、75歳以上の構成比が19%を超え、20から30歳代は構成比が16%です。就業者人口がふえるためには、なりわいとして農林業で生活できるのかが焦点であります。統計から、年収100万円以下の農家が全体の6割を占めている現状を見てみますと、将来設計に不安を持たれるのは当たり前のことだと認識いたしております。
 そこで、今回の質疑では、農地を確保し、若い人も就農して、少しでも安定した所得確保ができないかという点に絞って質問してまいります。
 まず、耕作放棄地解決策の見込みについてお尋ねいたします。平成22年度末の耕作放棄地で復元可能な面積は51ヘクタールでした。平成23年度末では34ヘクタールと減少していますが、どのようにして解消されたのか、お尋ねいたします。耕作放棄地の解消には、まず所有者がみずから耕作を行ってもらうことが一番です。24年度の事業として、耕作放棄地再生事業などがありますが、これはどのくらいの面積を考えられておりますでしょうか。そして、どのようにして農地に復元されようとしておられるのか、今後の対策をお尋ねいたします。
 次に、就農についてお伺いいたします。本年もふくおか農業塾事業など新規就農を支援する事業を実施されますが、何人の新規就農が見込まれるのでしょうか、お示しください。また、農業の担い手として地域の中心となる農家の育成などがあると思われますが、福岡市ではどのような状況か、お伺いいたします。
 次に、林業についてお伺いいたします。
 木材の生産額が下がってきている昨今では、植林や林道の整備や間伐など余り手がつけられていないように思います。林業で生計が立てられないことが一番の原因ですが、森がこのまま放置されていきますと、それこそ取り返しのつかない事態に見舞われることになります。集中豪雨によって木が流され、保水機能がなくなり、すぐ市街地へ流れ込むなどの災害が典型的な例ではないでしょうか。そこで、市民がもっと山に、森に目を向けていくような取り組みが大事と言えます。
 今、本市ではどのような取り組みで、何人ぐらいが参加されているのでしょうか。また、森林の減少や荒廃を食いとめるための市の取り組みは何かお尋ねいたします。
 農林業に従事されている方々の所得を増加するためには、製品や野菜を販売する場所を設けて、そこに市民が買い物に来てくれることだと思いますが、市内では直売所など何カ所で取り組んでおられるのか、お尋ねいたします。
 次に、地下鉄地上出入り口に街図を設置することについてお伺いいたします。
 本市の重要施策の中で、観光客の誘致促進があります。リピート客をいかにふやすか、この点において担当局はさまざま手を打っておられることと思いますが、旅行者の目線で、今回は地下鉄出入り口の街図設置についてお聞きいたします。地下の改札口には、確かに街図があります。目的地は何番の出口が一番近いかわかります。ところが、階段を上っていきますと、真っすぐな階段はまだましなのですが、階段の途中で何度も曲がって上るようになると、地上に出たときに左右どちらに行ったらいいのか迷った経験は皆さんありませんでしょうか。私は久しぶりに六本松駅を出たときに、以前と大きくさま変わりした街の様子に、さて、どの方向が目的地だったのか、しばし迷っておりました。また、東京でホテルに行くときも、近くの地下鉄出入り口から出たのですが、曲がって上り、曲がって上りして地上に出たので、改札口付近で確認していた方向を見失うはめになりました。本市の地下鉄駅も乗降客が近年ふえ続けていますが、何も観光客に限った話ではありません。市民も移動手段として多くの人が利用しています。その上で、これまで地下鉄出入り口地上部に街図の案内板が設置されてこなかった理由はなぜか、お伺いいたします。
 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。


◯環境局長(荒瀬泰子) まず、九州内の発電設備と発電電力量の内訳についてでございますが、九州電力の6基の原子炉のうち、平成23年4月の時点は4基が稼働しておりましたが、定期点検に伴い徐々に停止し、平成24年1月以降、すべての原子炉が停止しております。このような状況の中での九州電力の平成23年度の合計発電電力量は730億3,300万キロワットアワーで、その内訳は火力発電が524億2,500万キロワットアワーで最も多く、全体の約72%、原子力発電が144億8,100万キロワットアワーで全体の約20%、水力発電が47億6,000万キロワットアワーで全体の約7%、太陽光発電を初めとする新エネルギーなどが13億6,700万キロワットアワーで全体の約2%となっております。
 次に、昨年の夏の電力消費量に対し、原子力発電がなかった場合、どのくらい電力が不足するのかというお尋ねについてでございますが、九州電力においては、昨年夏の最大使用電力は1,544万キロワットでございましたが、当時2基の原子炉を稼働させること等により1,671万キロワットの供給力を保有しておりました。このうち176万キロワットが2基の原子炉による発電であったことから、これがゼロとなりました場合には、同社の供給力は1,495万キロワットに低下することになります。そういたしますと、昨年夏の最大使用電力1,544万キロワットに対し供給力は1,495万キロワットになり49万キロワットの電力の不足が考えられます。
 次に、昨年の福岡市役所における節電対策についてでございますが、夏季には天井蛍光灯の間引きやパソコンの省エネ設定の徹底などの省エネ対策を強化し、昨年7月から9月の3カ月間に本庁舎や各区役所などの主要な市有建築物におきまして平成22年度比で11%の節電を達成いたしました。また、冬季には従来の省エネ対策に加えましてOA機器の使用台数削減など一層の節電対策に取り組み、国等から平成22年度比で5%以上の節電要請があった12月26日から2月3日までの期間には本庁舎で約18%の使用電力の削減を達成したところでございます。これら節電対策を実施いたしましたことによりまして、市有施設全体の年間を通しました電気使用量は、平成22年度3億9,210万キロワットアワーに対しまして平成23年度は3億7,290万キロワットアワーと減少し、年間で1,920万キロワットアワー、割合にいたしまして約4.9%の節電効果が生じております。さらに、この節電量を1世帯当たりの年間電気使用量で換算をいたしますと、約3,700世帯分に相当いたします。
 次に、福岡市役所でのことしの夏の節電目標等につきましては、この夏は節電の数値目標のなかった昨年とは異なり、国等から平成22年度比で10%以上の節電を要請されており、本庁舎や各区役所などの主な市有建築物におきまして15%を目標に節電に取り組むことといたしております。具体的には、冷房時の室温28度Cの徹底や照明の間引きなどの従来の省エネ対策に加えまして、OA機器の使用台数削減や執務室内の非利用箇所の部分消灯など一層の節電対策を実施し、目標達成に向けまして全庁を挙げて取り組んでまいります。
 次に、平成23年度に実施いたしました省エネチャレンジ応援支援事業の成果についてでございますが、100世帯の募集に対しまして118世帯が参加し、7月から9月と11月から1月の6カ月間、電気、ガスの省エネに取り組んでいただきました。参加世帯における前年度比とのCO2削減率は1世帯平均で約13%、総量にいたしまして福岡市内の家庭約7.5世帯が1年間に排出する量に当たります1万8,507キログラムのCO2削減を達成したところでございます。
 次に、平成23年度の住宅用太陽光発電システム設置補助につきましては、年度当初、1,000件で募集を開始いたしましたところ、予想を超える応募があったため、募集件数を1,500件に拡充し、1,460件の補助を行ったところでございます。その年間発電量は約660万キロワットアワーと推計いたしているところでございます。
 次に、23年度の福岡市役所における節電量と発電量についてでございますが、市有施設における節電量1,920万キロワットアワーと再生可能エネルギー等による発電量2億5,635万キロワットアワーを合計いたしますと2億7,555万キロワットアワーとなり、1世帯当たりの年間電気使用量で換算いたしますと約5万2,000世帯分相当の電力量となります。
 次に、24年度の再生可能エネルギーの代表的な施策とその発電量につきましては、西部、中田埋立場に設置いたします大規模太陽光発電、いわゆるメガソーラー事業がございます。平成25年2月から1メガワット規模の発電を予定しておりまして、年間発電量を99万キロワットアワーと想定しております。これは一般家庭の約200世帯分の消費電力量に相当するものでございます。以上でございます。


◯経済観光文化局長(永渕英洋) 企業の設備投資に対する施策のメニューについてのお尋ねにお答えいたします。
 市内の中小企業がエネルギー関係の設備を新設しようとする場合は、福岡市の制度融資の中に設けております設備等経営改善資金を利用することができます。この資金は、本年4月に、これまで以上に利用しやすい制度とするため、融資期間を10年から15年に延長する制度改正を行ったところでございます。さらに現在、環境、エネルギー関係の設備投資に特化した融資制度の創設について検討を始めており、今後、環境局や金融機関などと協議を行い、実現に向けて検討を進めてまいります。以上でございます。


◯農林水産局長(松本友行) 農林業の活性化についてお答えいたします。
 耕作放棄地の解消方法についてでございますが、平成21年に農地法が改正され、これに基づき農業委員会において地元の農業委員の方と連携しながら、所有者に対し耕作をしていただくか、もしくは農地を貸し出すかなど適正な管理について働きかけを行った結果、17ヘクタールの改善ができたものでございます。今後とも地元農業委員やJAと協力しながら耕作放棄地の解消に努めてまいります。
 次に、耕作放棄地再生事業についてでございますが、平成23年度から実施いたしており、これまでに約1.4ヘクタールの再生作業に着手しております。平成24年度につきましては1.5ヘクタールの農地の再生を行う予定でございます。また、農地への復元につきましては、耕作放棄地を借り受けて耕作を行う方に対して、草刈りや重機を用いた障害物の除去、ビニールハウスの改修、作物の作付等を行うための経費の2分の1程度を支援し、耕作放棄地の再生を行うことにいたしております。
 次に、新規就農者の見込み数についてのお尋ねでございますが、新規就農対策として、ふくおか農業塾を2年の研修期間で実施しております。平成21年度から開始し、23年度に19名が就農、現在研修中の農業塾生は25年度に20名の就農を見込んでおります。また、農業インターンシップ事業で年間5名程度の新規就農を見込んでおります。ほかに、いわゆる後継ぎと言われる農業後継者は平成20年度以降、年間6ないし8名が就農いたしております。
 次に、農家の育成方法についてのお尋ねですが、本市農業は大消費地に近接した特性を生かし、野菜や花を主体とした都市型農業中心の経営でございます。このため、地域の中心的な担い手となる認定農業者や青年農業者など多様な担い手育成を行っております。本市では担い手農家が農地を借り受けたり、農作業を受託するなどして規模を拡大する方向にあるため、認定農業者などの地域の中心的な担い手となる農家を育成してまいります。
 次に、市民が山や森に目を向けていくような取り組みについてでございますが、平成23年度の実績といたしまして14団体、延べ2,316人の方が植樹や竹の伐採などの活動に取り組んでいただき、松林の保全活動におきましても3団体、延べ984人の方が松苗の植樹活動に取り組んでいただきました。また、市が行っている森林の減少や荒廃を食いとめる取り組みといたしましては、所有者から山林をお預かりして、所有者にかわり杉、ヒノキの植樹や保育を行い、その収益を分け合う分収林事業や、15年以上手入れが行われていない個人所有の杉、ヒノキ林を間伐する荒廃森林再生事業がございます。
 次に、市内直売所の開設数についてのお尋ねでございますが、生産者団体等により開設されているもので本市で把握しているものとしては現在、JAが運営するもの10カ所、生産者グループ等が運営するもの2カ所の計12カ所がございます。そのうち東区は2カ所、博多区は1カ所、南区は2カ所、早良区は3カ所、西区は4カ所でございます。以上でございます。


◯交通事業管理者(坂田憲治) 地下鉄での街図の設置についてでございます。
 本市地下鉄駅の案内表示につきましては、国土交通省令に基づく移動等円滑化整備ガイドラインに沿って整備してございます。駅構内におきましては、駅周辺施設等への出口案内や街図を表示してございますが、地上出入り口におきましては、地下鉄にこれから御乗車いただくお客様を円滑に案内することを目的に案内板を設置しているため、地上出入り口には街図は設置してございません。なお、博多駅におきましては、平成23年3月の九州新幹線全線開業に合わせまして、地下街や接続する民間ビルと連携し策定いたしましたサイン計画に基づき、地下鉄地上出入り口の案内板にも街図を設置しておるところでございます。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 2回目の質問に入ります。
 エネルギー政策について、昨年の市役所での節電効果は約3,700世帯分だと報告いただきました。特に冬の週初め午前中から多くの職員が防寒ジャンパーを着て執務されている姿を見ますと、本当に痛々しい限りでした。健康上ぎりぎりの職場環境じゃなかったかと思いますが、よく乗り越えていただいたと思います。しかし、本年は昨年をさらに上回る目標設定があります。ことしの政府及び電力会社からの節電要請を見ますと、あと49万キロワットの電気量が必要になります。
 そこで、ことしの夏に向けての準備は大丈夫でしょうか。省エネチャレンジ応援事業の状況、平成23年度が100世帯から平成24年度は1,000世帯、また家庭の創エネに対しましては平成23年度が1,000件から平成24年度は1,500件が昨年に引き続き本年の市民に対する節電の施策ですが、市民家庭以外に考えられている内容についてお伺いいたします。
 ことしの夏は事業者や一般家庭を含め節電されないと計画停電という最悪の事態にさらされます。事業所においては、操業日や時間を変更されたり、昼休みを変更したりと努力されている報道が流れてきますが、福岡市が特に力を入れなくてはならないのが市民に向けての情報発信ではないかと考えます。あと1カ月で電力需要ピークを迎えます。今後どのように情報を発信されようとしているのか、お伺いいたします。
 また、スマートメーターが電力消費のバランスに有効であると言われていますが、本市での導入状況はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、再生エネルギーの開発です。24年度は研究に対する補助をされていますでしょうか、お伺いいたします。
 続いて、農林業の活性化についてです。
 本市では、耕作放棄地の解消に向けてこれまでもさまざま取り組んでこられたところですが、本年度も1.5ヘクタールを計画されています。どのような方法で周知されていくのか、お伺いいたします。特に、相続等で農地を所有することになった市外にお住まいの方には、耕作放棄地の解消に向けて強くアプローチしていただきたいのですが、御所見をお伺いいたします。
 また、若者の就農についてです。平均すると毎年20人程度の就農があるとお答えいただきました。この数字には年配者も入っていますので、若い人に限ると少ないのではないでしょうか。若者が就農しやすい環境づくりが大事です。意欲をわかせる何かが不足しているのか、農地が借りられないのか、原因は何と考えられているか、御所見をお伺いいたします。
 先日、島根県隠岐郡にあります海士町を視察いたしました。少し御紹介いたします。ここは言うまでもなく離島です。交通機関は船しかなく、気象が荒れたときなど二、三日は自給の生活を余儀なくされる厳しい現実がありました。町の人口は2,319人、役場の職員数は71人で行政サービスを行っています。離島であるがゆえに、食品の地産地消を行うことが大変大事なことでありました。海士町では、産業創出課や地産地消課を設置し、今ある資源をCASシステムを活用してブランド化して事業の拡大を積極的に推進していました。職員の方々は攻めの実行部隊として365日の勤務体制となっています。土、日曜日も普通出勤で、勤務シフトで平日が休日の職員もいることになります。地産地消課職員の出勤時間は、交代制ですが、朝6時30分始業となっていました。これは農作物を農家から回収し、キンニャモニャセンター、船着場の観光案内所ですが、その中の直売所に出荷しているからです。かつて農家が直接、直売所まで持ってきていたのが、車の運転もできなくなった高齢者がふえたため、職員が集荷するようになったそうです。農協がやればと思いますが、毎日はできないとのことだったので、それでは職員がやろうと決め、今日があるということでした。売れ残り防止のため、野菜出荷の方法などアドバイスも職員が行い、販売効果を上げています。また、農家住民とほとんど毎日顔を合わせるので、ぐあいが悪そうな人にもすぐ対処できるというような福祉事業の副産物もついてきていました。また、産業創出課では、起業する若者を募集し、島の発展に今後寄与するのではないかと思われる事業者に対し、商品開発研究生の支援制度を行っていました。月に15万円の生活費を出しておられるそうです。ある事業では、近海でナマコがたくさんとれるのですが、使い道がなく活用していなかったところ、この事業である若者が干しナマコにして中国に輸出して好評を博していると聞きました。今では人手が足りず、この事業に若者が参加しているなど雇用の面でも貢献していると報告いただきました。この島に来る、いわゆるIターンは、平成23年度で215世帯、327人になっています。定着率が70%です。ちなみに、Uターン数は185人です。役場では、若者、よそ者の意見を大事に聞いています。若い人たちへ仕事を創出するために起業のアイデアを採用したり、さらに軌道に乗るまで仕事に対する補助も行ったりしています。本市も本気になれば、農林業の振興で今よりもっと若者たちが活動する場ができるのではないでしょうか。2,300人の海士町でできて、本市でやれないわけはないと思いますが、いかがでしょうか。本当に刺激を受けてまいりました。生産者と消費者を結びつける、若者の意見を反映させる知恵を出していただきたいものです。
 森林の整備についてもう一つ、調査の御報告で、かつて静岡市で実施されている森林アドプト制度を視察いたしました。静岡市は面積の約8割、10万ヘクタールが森林区域になっています。この森林アドプト制度ができた背景は、中山間地域の活性化を行うことで都市地域の活性化にもつながるという趣旨でスタートしています。制度の流れは、森林未整備地を企業等の寄附金を使い間伐や林道、作業道の整備に充てるということで、森林所有者、企業、森林組合や行政の4者をマッチングさせて、経営的自立と持続できる公益的機能向上を図るとしています。寄附を行う事業者もグリーン電力証明書を取って社会貢献度を発表し、市民の理解を得ています。また、間伐材の有効利用で林業市場も経済化を図っていました。本市もCO2クレジットの売却は企業などの環境活動として23年度から現在まで79トンの実績がありますが、よその取り組みと比較しますとまだまだ浅いようだと言えます。
 特に道の駅を拠点とした山間部の取り組みで製品を販売するなど、都市部の市民も参加できるようにしていると静岡市では言われていました。ここが大事な視点です。本市では森林整備の参加者が少ないので、担い手として市民の応援方法をつくることを本市も行ってはいかがでしょうか。
 また、現在は所有者不明の森林もふえていまして、今後どのような手だてをされるお考えか、お尋ねいたします。
 また、本市直売所は農産物で12カ所とのことですが、都市部の市民も利用しやすいところ、車で行かなくてもいいところなど交通便利地はどこに何カ所ありますでしょうか、お示しください。生産者の収入をふやさなければ生産の意欲がわきません。できれば木製品や山の食品なども一緒に販売されると本当にいいのではないかと考えますが、今後の計画もあればあわせてお示しください。
 企業にも本市のいろいろな取り組みに参加いただけるよう働きかけをしなければ情報は伝わりません。利益が上がる事業であれば民間なり協同組合なりで行ってもらえばいいのですが、利益が上がらない、しかし、やることが大事であれば行政が関与していくという仕組みづくりを今こそつくるべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、地下鉄出入り口の街図設置についてお伺いいたします。
 福岡のお祭りには、どんたくや山笠を初め、よさこい大会やアジアマンスなど全国に知られている祭りや行事が数多くあります。初めて来福された方々に気持ちよく滞在していただくために時間を有効に活用していただくためにも、おもてなしの気持ちを最大に発揮することが大事ではないでしょうか。目的地に行くにも、交通機関と歩く道順がしっかり理解されていないと時間のロスが生じます。はっきり申し上げて、時間どおりに目的地に行くために鉄軌道を皆様が利用されていると言っても過言ではないと思います。できるところから設置してはいかがでしょうか。今から乗ろうとしている人はいいのですが、おりてこられた人が目的地までのわかりやすいサインがないのはいかがなものでしょうか。目線を利用者に置くことをぜひ実行していただきたい。
 また、博多駅の地上部には街図が設置されているとのことでした。まずは天神や中洲など観光客が多いところはもちろんですが、祇園駅や箱崎駅、そして大学病院がある駅など、できるところから設置していただきたいと考えますが、交通局の御所見をお伺いいたします。
 また、経済観光文化局にお聞きします。この街図設置について、観光客の利便性のためにも外国語表記を取り入れて設置してはいかがかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 以上で2回目の質問を終わります。


◯環境局長(荒瀬泰子) 市民向け以外の節電施策と今後の市民に向けた情報発信についてでございますが、まず、民間の事業者に対しましては、年2回の省エネ講習会のほか、平成23年度から実施しております省エネ専門業者により指導を受け、事業所の初期投資が不要で、省エネによる経費削減ができる事業所省エネ技術導入サポート事業や、平成24年度の新規事業といたしまして、省エネ技術や人材が乏しい中小企業者を対象に、省エネ専門家の派遣を支援する事業所省エネアドバイザー派遣支援事業を実施しております。
 市民の皆様への情報提供につきましては、夏の省エネ対策特集号を7月1日号の市政だよりに折り込みますほか、福岡市ホームページにおきましても家庭における節電のポイント等について情報提供を行うこととしております。また、市内の主な事業者、大学等から成りますエコ・ウェイブ・ふくおか会議等における情報交換を通じまして、節電の取り組みを広げるよう努めているところでございます。さらに、節電要請期間の初日でございます7月2日には、関係機関と連携し、博多駅前におきまして節電街頭キャンペーンを行うほか、7月下旬に予定しております打ち水イベント等を通しまして市民の皆様に対し節電を呼びかけることといたしております。
 次に、スマートメーターについてでございますが、スマートメーターとは一般的には通信機能を備えた電力メーターで、電力会社と家庭、事業者などの需要者との間で電力使用量などのデータのやりとりをしたり、家電製品などを制御したりすることができるものと言われております。九州電力の場合には、ユニットメーターという遠隔操作が可能な電力メーターを設置しておりますが、一般的なスマートメーターと比べますと機能は限定的なものとなっております。福岡市内での導入状況につきましては、公表データがないためわかりませんが、九州管内での状況でお答えいたしますと、九州電力のユニットメーターが約18万個設置されている状況でございます。
 また、最後の、民間事業者への再生可能エネルギーの開発、研究に対する補助制度についてでございますが、現在はこの補助制度はございません。以上でございます。


◯農林水産局長(松本友行) 農林業の活性化についてお答えいたします。
 耕作放棄地再生事業の周知方法につきましては、福岡市のホームページに事業内容について掲載しているほか、農業委員会やJAに対して事業の説明会を実施し、農業委員、JA各支店から各農家へチラシを配布し、周知を行っているところでございます。
 次に、市外居住の農地所有者に対します耕作放棄地解消策についてお答えいたします。平成23年度に農業振興地域内に農地を所有する方1,500人を対象にアンケート調査を実施したところ、回答者のうち農業に従事していない方が約4割、このうち農地の貸し借りの制度を知らない方が約4割いらっしゃいました。御指摘の、市内に居住していない農地所有者につきましても、地元農業委員やJAなどと連携しながら周知の徹底を図ってまいります。
 次に、若者の就農しづらい原因についてでございますが、就農希望者の多くが農業技術を持たないことと農地を確保していないことが主な原因でございます。その対策といたしまして、農業技術を習得するための事業を行うとともに、就農相談窓口での対応、農地お見合い事業などにより農地確保を促進しているところでございます。
 次に、森林の整備について、担い手としての市民の応援方法をつくることについてでございますが、平成23年度から取り組んでおります市営林で増加した二酸化炭素吸収量をクレジット化して企業等に売却し、その益金を森林整備に還流するカーボンオフセット制度の普及啓発を進めて、さらに企業等の応援を得ていくとともに、近年増加しております市民や企業などによる森林ボランティア活動につきましても引き続き支援を行ってまいります。また、所有者不明の森林につきましては、平成23年4月に森林法が改正され、新たに森林の所有者となった者の届け出制度が義務化されて、所有者の把握が進むとともに、また所有者不明であっても行政の裁定により必要な間伐ができるよう制度が拡充されておりますので、その適用について検討を進めてまいります。
 次に、直売所のうち都市部の市民にも利用しやすいものについてのお尋ねでございますが、直売所のうち住宅に近い場所に立地しているのは東区に2カ所、南区に2カ所、早良区に1カ所、西区に4カ所でございます。今後の計画に関しましては、開設者でありますJAなどで検討されるところでございます。
 次に、農林業の活性化に関する所見とのお尋ねでございますが、まず担い手の育成支援といたしまして、県、JAなどの関係機関と一体となった新規就農の促進とともに、本市農林業の担い手となる方々の育成支援を行ってまいります。また、経営安定を図るため、生産基盤である施設の整備や生産安定事業を行うとともに、農林産物の地産地消や市内産農林産物を活用した特産品開発など、各種施策を実施することにより、農林業の活性化を図ってまいります。以上でございます。


◯交通事業管理者(坂田憲治) 地下鉄への街図の設置についてでございます。
 本市は、すべての人にとりまして住みやすい、来てみたいまちとしてユニバーサルシティ福岡の実現に向けた取り組みを進めており、地上出入り口への街図の設置につきましては、来街者に優しい、回遊性の高いまちづくりに寄与できるものと考えます。このため、関係局との連携を図りながら、現在設置してございます地上出入り口の案内板のスペースの利用や広告収入の活用など検討の上、可能なところから地上出入り口に街図を設置してまいりたいと思います。なお、天神駅など地下街や周辺ビルなどが一体となった駅につきましては、周辺民間事業者とも協議を進めながら検討していく必要があろうかと考えてございます。以上でございます。


◯経済観光文化局長(永渕英洋) 街図設置についての経済観光文化局へのお尋ねでございますが、本市への福岡空港や博多港からの外国人入国者数は増加傾向を示しているところでございます。こうした状況を踏まえ、平成21年度に外国語を併記した観光案内板を整備したところでございます。地下鉄地上出入り口付近の街図につきましては、外国人観光客の受け入れ環境を充実させるとともに、既存の観光案内板との連携を図るためにも外国語も併記することが望ましいと考えております。以上でございます。


◯23番(山口剛司) 3回目の質問に入ります。
 エネルギー政策について、これまでわき役でした電力の消費者が買電、売電、蓄電ができるよう後押しすることが行政として必要な時代になったのではないかと考えます。市民がもっと協力しようという下地つくりが大事だと思います。今後どのようにして機運を盛り上げていかれるのでしょうか。市民の皆さんが福岡市での暮らしがしやすくなったと言われる自治体をぜひ目指していただきたい。これからの発電所は大型の発電所を1カ所つくるのではなく、消費地の近くでいろいろな発電の形態を整えなければならないと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、再生エネルギーの開発です。私たち公明党は、今後の新規の原子力発電所はつくらない、さらに使用年限を定め廃炉にしていくという考え方です。電力開発については、よく失われた20年ということが言われていますが、事実、発電の新規開拓が進んでいないのが現状です。これからはさまざまな可能性がある研究等に予算をつけて、先進的に取り組むことが大事ではないでしょうか。そこで、これからの方向性について市長の御見解をお伺いいたします。
 農林業についてですが、農水局を担当された職員はおわかりかと思いますが、長期の視点に立って施策を進めなければ実がとれません。耕作放棄地にしても、木材の利用についても、二、三年ぐらいでは成果があらわれません。まさに建設は死闘、破壊は一瞬です。人事異動で職員が長く担当しない状況では施策の実行が難しい。それこそ農水を経験された職員の方が他の部署に異動されたらとか、議場の理事者の方にも経験者が多数おられますが、例えば、市内産木材は、そこの部門で何か活用ができないかなどと意識を持って応援していただきたいのです。私たちの生活に欠かせない食の供給のため、一丸となって取り組んでいただきたいのですが、高島市長の御所見をお伺いいたします。
 街図設置についてですが、交通局でできるところから広告収入も活用して上屋に設置されるとの答弁でした。よろしくお願いいたします。さらに、地下鉄利用者増加のためにも、日本語だけでなく外国語表記も取り入れることができれば海外の観光客にとって福岡市はとても親切なまちと評価されると思います。本市ではさまざまな場所に案内板が設置されていまして、また、これからも設置されることと思いますが、その案内板では簡単な観光名所や宿泊施設などが外国語も加えてわかるように表記していただくと、福岡のまちを観光している方々の利便性が向上するのではないかと考えますが、最後に高島市長の御所見をお伺いし、質問を終わります。


◯市長(高島宗一郎) 観光客の受け入れ環境を充実させて、内外からの観光客にも優しいユニバーサル都市を目指していくことは、都市の総合力の向上につながるものと考えております。そのため、今年度を観光元年と位置づけて、さまざまな観光資源に磨きをかけて、九州の各都市とも連携をしながら積極的に集客を図りますとともに、訪れた皆さんが福岡のまちを楽しんで快適に過ごしていただけるように受け入れ環境の充実を図ってまいります。
 案内板につきましては、山口議員御指摘のとおり、福岡を訪れた皆様が観光や滞在などを楽しんでいただくための非常に重要な要素でございます。福岡市で設置している観光案内板、ほとんどが外国語併記としておりますが、今後とも内外からの観光客の皆様に快く観光いただけますように、利便性の高い案内板の設置に取り組んでいきたいと考えます。
 福岡市の農林業は、新鮮な農林産物の供給によって市民の食生活を支えますとともに、農地や森林が持つ水源の涵養ですとか大気の浄化など、いろんな機能の発揮によって多彩な自然環境と触れ合う、また潤いのある景観の形成など豊かな市民生活の場を提供しております。これらが福岡市が住みやすいまちとして評価されている大きな要素と認識していますし、まさに人と環境と都市の調和という意味でも大きな効果をあらわしていると思います。一方で、御指摘のとおり、収入が例えば上がらない、就業者が減少して高齢化している、農地や山林が荒れている、こういった大変厳しい状況にあるのも事実でございます。こうした状況を踏まえまして、ことしの2月に策定をした福岡市農林業総合計画に基づいて、農林業の生産基盤の整備を初め、新規就農の促進ですとか、耕作放棄地対策、そして木材の利用促進を行いますともに、地産地消を進めることによって農家の収入アップを図って、豊かな市民生活を支える活力ある農林業の振興に取り組んでまいりたいと思います。また、1階で売っています飲む海水も、あの分の半分の100円は水源地の涵養、こういったことにも充てられることになっております。いろんなところで連携をしていくことが大切というのは御指摘のとおりだと思っております。
 それから、去年の東日本大震災と福島第一原発の事故以降、日本におけるエネルギー政策のあり方は大きく問われております。福岡においても地域特性や資源を生かして、太陽光ですとか風力など再生可能エネルギーを最大限に導入するために、平成23年の10月、環境局にエネルギー政策を担当する組織を新設いたしますとともに、エネルギーなどの専門家で構成する環境・エネルギー戦略有識者会議を設置して議論を重ねているところでございます。民間事業者などに対する再生可能エネルギーの開発、そして発電の新規開拓にかかわる研究予算をつけて、先進的な取り組みを促す仕組みについては、国や関係機関等の情報収集に努めますとともに、そのあり方についても検討していきます。また、今後のエネルギー政策の方向性につきましては、年度末に取りまとめられます有識者会議からの提言、それから国のエネルギー政策の動向なども参考にしながら、ただいまの御議論で山口議員から御指摘いただきました、市民が参加して恩恵を享受できる仕組みづくりの視点も踏まえつつ、福岡市の環境・エネルギーの戦略を策定していきたいと考えます。これまで以上に再生可能エネルギーの導入促進を図って、自律分散型エネルギー社会を構築することで、市民の暮らしの質の向上を図っていきたいと考えます。以上です。

福岡市議会議員
山口つよし

公明党 福岡市議団

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